「ねえ。どうしてさっきから王子が、宮崎さんに話してるの?」

「ていうか、お世話ってなに?」

「まさか宮崎さん、OKしないよね?」


クラスの女の子たちのひそひそ声に、硬直していた私はハッと我に返る。


ふと教室を見渡してみると、京極くんに話しかけられている私は、いつしかクラスで注目の的になっていた。


女の子のほとんどが、怖い顔でこちらを見ていることに気づいた私は身震いする。


もしここで私が頷いて、学園の王子である京極くんの手を煩わせることになったりしたら……。


女の子たちに、何を言われるか分からない。


「ええっと、せっかくですけど……私なんかのために、そんなことをしてもらうなんて京極くんに申し訳ないです。け、結構です!」


早口で言うと席を立ち、私は逃げるように教室を飛び出した。


あの京極くんにお世話してもらうだなんて、そんなのありえないよ……!