放課後。
この日、私は圭人と教室の掃除当番だった。
そのため京極くんにも先に帰ってもらうように伝え、教室には今、私と圭人のふたりだけ。
「なぁ、絃葉。右腕をギプスで固定していると、大変だろ? 掃除は、俺一人でやっておくから。お前は、先に帰ってていいよ」
「そんなの、圭人に悪いよ」
「いいって、いいって。幼なじみの俺に、遠慮なんかすることないから」
圭人がほうきを手にし、床を掃き始める。
「でも……私、自分が骨折してるからって、それを出来ない理由にはしたくないよ」
私は教室の隅にある掃除用具入れから、ちりとりを出して持ってくる。
そして、圭人が集めたゴミのそばに左手でちりとりを持ったまましゃがみこむ。
「絃葉?」
「ほら。こうやって、ちりとりを持つくらいはできるし。あと左手でゴミ袋も持てるから、ゴミ捨てにだって行けるよ。だから……」
「絃葉、お前……」
圭人が目を大きく見開き、こちらに近づいてくる。