「……ごめん、絃葉ちゃん」


京極くんは何も悪くないのに。私が女の子から悪口を言われるたびに、彼は謝ってくれて。

逆に、申し訳ない気持ちでいっぱいになる。


「あの子たちのことは、気にしなくて良いからね」

「う、うん」


京極くんが文句を言っていた子たちのほうを鋭い目つきで見ると、彼女たちはバツの悪そうな顔で逃げていく。


ていうか京極くん、手が……。


京極くんは、車から降りるときに繋いだ私の左手を離さない。


それどころか、繋いだままの手にギュッと力が込められる。


「絃葉ちゃんは、俺のことだけ見てて。君のことは、何があっても俺が守るから」


これはあくまでも、お世話係や友達としてってことだろうに。


京極くんの言葉に、胸がとくんとまた跳ねた。