「えっ、 いちご狩り!? 楽しそう」
「でしょう。甘くてジューシーないちごが、山ほど食べられるよ」
美味しいいちごが、山ほどだなんて。夢みたいな話!
「あっ、でも……私いま腕が骨折してるから。やっぱり片手だと何かと不便だし。治る頃にはきっと、 いちご狩りのシーズンが終わっちゃうよね」
行けないという現実に、ガクッと私は肩を落とす。
「それならもし良かったら、今年じゃなくて来年にでも。陽莉や絃葉ちゃんの友達の松島さんも誘って、皆で行こうよ。もちろん、萩原くん……君も一緒に」
「えっ、京極。俺も一緒に行って良いのか!?」
自分も誘ってもらえると思っていなかったのか、圭人の顔がパッと明るくなる。
「ああ。俺にとって君は、ライバルだろうけど。絃葉ちゃんにとっては、大切な幼なじみだろうから」
「京極、お前案外良いヤツなんだなあ」
京極くんの肩を軽く叩く圭人を横目に、私はひとり考える。
来年か。私の右腕の骨折が治って、お世話係が終わっても……。京極くんは、私といてくれるのかな?
そんなこと、面と向かって聞きにくいけど。
ここは勇気を出して、京極くんに思いきって聞いてみようかな。