圭人、まさかいちごを食べさせてくれるなんて!
「どうしたんだよ、絃葉。ガキの頃はよくこうやって、ショートケーキのいちごをお前に食べさせてやってただろ?」
「それは、そうだけど……あれは、小学生のときだったから」
それに、今は高校生で。隣には、京極くんもいるから……さすがに恥ずかしいよ。
私が、圭人にいちごを食べさせてもらうのに躊躇していると。
「あっ、おい! お前、なに勝手に食べてんだよ!?」
なんと私の横から京極くんが身を乗り出し、圭人の手にあるいちごをぱくりと食べた。
「このいちごは、絃葉のためにと思って!」
「いやあ〜俺、ちょうどいちごが食べたい気分だったから。ごめんね? 萩原くん」
圭人に向かって手を合わせ、ニッコリ笑顔で謝る京極くん。
「ていうか絃葉ちゃん、いちごが好きなの?」
「うん」
「だったら、京極財閥が所有しているいちご農園が隣県にあるんだけど……今度、そこでいちご狩りでもする?」