ていうか、どうして京極くんが私に挨拶を?!
「お、おはようございます?」
「ははっ。どうして、疑問形?」
おかしかったのか、声に出して笑う京極くん。
「いや、えっと。京極くんとは、今までほとんど話したことがなかったので……」
「あっ、そうだったね。いきなり話しかけてしまってごめんね? この前は、妹を助けてくれてありがとう」
「妹??」
深々と頭を下げる京極くんに、私は首を傾げる。
「宮崎さん、先週横断歩道でトラックに轢かれそうになった女の子を助けたでしょう? あれ、俺の小学1年生の妹なんだ」
「えっ、そうなの!?」
「うん。母と買い物中に、いなくなってしまったみたいで。あいつ、親や執事の目を盗んですぐ勝手にどこかへ行くから……」
やれやれと、肩をすくめる京極くん。
まさか、あの可愛い女の子が京極くんの妹さんだったなんて!
言われてみれば、何となく顔立ちが京極くんに似ていたかもしれない。