「わっ!」

「危ない!」


転びかけた身体を、後ろからしっかりとした腕が支えてくれた。

ふわりと包まれた温もりに、心臓が大きく飛び跳ねる。


「ご、ごめんなさい!」


私は慌てて体を離した。


「右腕は大丈夫!?」

「うん、大丈夫だよ」


思わぬハプニングに、胸の鼓動が速まる。


もし、京極くんがいなかったら……私、どうなっていたんだろう。


骨折した右腕がまだ治っていないのに。そんな状態で転倒して、右腕を強打していたらと思うとゾッとする。


「京極くん、ありがとう」

「はぁ……。絃葉ちゃんが、無事で良かった」


安堵する声とともに、京極くんが後ろから私をそっと抱きしめてきた。


「京極くん……っ」


ピタリと密着する体。


背後から、京極くんの熱が伝わってくる。