そんな私の気持ちを、知ってか知らずか。


京極くんは、余裕のある表情で右腕のギプスの上にタオルを巻き、さらにビニール袋をかぶせてくれる。


京極くんの指、長くてきれいだなあ。


私の意識は、京極くんのゴツゴツとした大きな手ばかりに集中してしまう。


「輪ゴム、きつくない?」


最後に、ビニールの上から輪ゴムとテープでしっかりと密封する際、京極くんが私に聞いてくれた。


「うん、大丈夫だよ。ありがとう」


彼に丁寧に保護してもらった腕を、私はじっと見つめる。


やっぱり利き手が使えないと、どうしても不便だから。京極くんに手伝ってもらえて、助かった。


「それじゃあ、俺はリビングのほうに行くけど。ほんと冗談抜きで、入浴中に背中を洗って欲しいとか。何か困ったことや、して欲しいことがあったら言ってよ? そのために、俺がいるんだから」

「分かった。ありがとう」