「あっ、来たよ!」

「キャーッ! 今日も朝から眩しい」


私が和花ちゃんと話していると、しばらくして周りにいる女の子たちが一斉に騒ぎだした。

どうやら、学園の王子様である京極蒼生くんが登校してきたみたい。


「おはよう、京極くん!」

「蒼生くん、今日もすっごくかっこいい〜」


京極くんが教室に入ってくるなり、彼はあっという間に女の子たちに囲まれてしまう。

相変わらず、すごい人気だなあ。


2年生のクラス替えで、運良く京極くんと同じクラスになれた私。

かと言って、特に何か話したりすることはなく。ただこうして、自分の席から彼のことを見ているだけなんだけどね。


「ちょっ、ちょっと絃葉! 京極くんが、こっちに向かって歩いてきてるんだけど!」

「……え?」


珍しく焦ったように言う和花ちゃんに、よそ見をしていた私が視線を戻したそのとき。


「おはよう、宮崎さん」


なんと和花ちゃんの言葉通り、本当に京極くんが私の席まで歩いて来て、声をかけてきた。