「わあ、すごい」
色とりどりの季節の花が咲くお庭には、白色のテーブルと椅子が4つ置かれている。
私は、京極くんと椅子に並んで腰かけた。
「はい、どうぞ」
それからすぐに、京極くんのお母さんが紅茶とアップルパイを持ってきてくれた。
アップルパイは出来たてなのか、ほかほかと湯気がたっている。
「うわぁ、美味しそうですね」
アップルパイを見た私は、目をキラキラと輝かせる。
「ふふ。絃葉さんのお口に合うと良いんだけど。どうぞ、ごゆっくり」
京極くんと同じ栗色の長い巻き髪を揺らしながら、お母さんが家の中へと戻っていく。
「今日はね、陽莉もママのお手伝いしたんだよ」
陽莉ちゃんが、私の向かいの空いている椅子にちょこんと座る。
「へぇー、お手伝いなんてすごい。えらいね、陽莉ちゃん」
「えへへ」
「それじゃあ、絃葉ちゃん。温かいうちに食べようか」
京極くんは、自分の目の前にあるアップルパイをフォークで切り分けると。
「はい、絃葉ちゃん。あーん」
フォークに刺したひとくち大のアップルパイを、私の口元へと運んできた。
う、うそ。京極くんったら、陽莉ちゃんがそばにいるのに……!