お母さんの話によると、事故に遭った私は全治2ヶ月の右腕骨折と診断されたらしい。
私の右腕は包帯をぐるぐる巻かれ、ギプスで腕ごと固定されている。
ちなみに頭部などに怪我はなく、右腕の骨折だけで済んだのは、不幸中の幸いだったんだそう。
それから1週間入院して、無事に退院の日を迎えたものの、私は引き続き利き手をギプスで固定された生活を送ることとなった。
* * *
退院した翌日。私は、久しぶりに登校した。
腕をギプスで固定しているからか、ただ廊下を歩いているだけでやたらと人にジロジロと見られる。
「あっ、絃葉〜!」
教室に入ると、友達の松島和花ちゃんが真っ先に出迎えてくれた。
慌てて走ってきてくれたからか、いつもキレイに巻かれている和花ちゃんの髪が少し乱れている。
「おはよう、和花ちゃん」
「おはよう。ねえ、絃葉。事故に遭ったって聞いたけど……もう大丈夫なの!?」
「うん、何とか。でも、まだ当分の間ギプスは外せないから。利き手が使えなくて、もしかしたら和花ちゃんに迷惑をかけちゃうかもしれないけど……」
「いいよ、いいよ。あたしに出来ることなら、何でも言って? 手伝うから!」
「ありがとう」
和花ちゃんのお父さんは、インターネット関連の会社の社長さんで、和花ちゃんは立派なお嬢様。
だけど、それを鼻にかけたりすることもなく、誰にでも気さくでとても話しやすい子。