「うん。正解だよ、絃葉ちゃん」


京極くんに教えてもらいながら、どうにか私は応用問題を解くことができた。


「さすがだね」


伸びてきた手が、労うように優しく私の頭を撫でた。

その途端に胸がきゅうっとして、心臓が騒がしくなる。


自分だけだと解けなかった問題も、京極くんに教えてもらうと解けたから。


京極くんって人に教えるのも上手くて、やっぱりすごい。


──コンコン。


それから少しして部屋のドアがノックされ、陽莉ちゃんがひょこっと顔を覗かせた。


「どうした? 陽莉」

「ママがね、お菓子焼けたからそろそろ休憩したら? だって」


陽莉ちゃんに言われて京極くんの部屋の壁時計に目をやると、課題を始めてから2時間近くが経っていた。


「せっかく陽莉が声をかけてくれたから。一旦休憩にしようか」


京極くんに言われて、私たちは2階から1階のリビングへと移動する。


「蒼生、絃葉さん。アップルパイを焼いたんだけど。絃葉さんはお好き?」

「はい、大好きです」

「そう、良かったわ。今日は良いお天気だし、お庭で頂いたらどうかしら」


京極くんのお母さんの言葉に、私と京極くんはリビングの大きな窓から庭に出ることに。