サラサラの栗色のロングヘアを後頭部でひとつに結び、京極くんによく似た黒目がちの大きな瞳の可愛い女の子。


この子は、もしかして……。


「お兄ちゃん、おかえりなさい」

「ただいま、陽莉」


ニッコリ微笑む、京極くん。


「ねえ、お兄ちゃん。お隣のお姉ちゃんは……」


陽莉ちゃんの視線が、京極くんから私へと向けられる。


「もしかして、絃葉ちゃん?!」

「ああ。あの日、陽莉のことを助けてくれた、絃葉ちゃんだよ」

「やっぱり……!」


その途端、陽莉ちゃんの顔がぱあっと明るくなる。


「絃葉ちゃん。改めて、この子が妹の陽莉だよ。ほら陽莉、ご挨拶して」

「こ、こんにちは。あのときは陽莉のこと、助けてくれてどうもありがとうございました」


少し照れくさそうにしながら、私に向かって深々とお辞儀する陽莉ちゃん。


陽莉ちゃんと、こうして面と向かって話すのは今日が初めて。


「いえいえ。陽莉ちゃんに怪我がなくて、本当に良かったよ」


すると陽莉ちゃんが近づき、小さな手で私の左腕をそっと掴んでくる。