「プレゼント?」

「うん。もう一度、前を向いててくれる?」


京極くんに言われたとおりに前を向くと、再び髪の毛を触られる感触がする。


「はい、どうぞ」

「わあ!」


鏡で見てみると、京極くんがひとつに結んでくれたヘアゴムの上から、ピンクのシュシュが。


「このシュシュ、俺の妹とお揃いなんだ。この前、街のショップでこれを見つけて。陽莉が絃葉ちゃんとお揃いで欲しいって言って、買ったんだ」

「そうなんだ。嬉しい……!」

「絃葉ちゃん、ごめんね。妹を助けてもらったせいで、君に大変な思いを沢山させてしまって」

「ううん。私、陽莉ちゃんを助けて事故に遭ったこと、全く後悔はしてないよ?」


私は、京極くんに笑ってみせる。


「シュシュ、本当にありがとう。大切にするね」


宝物が、ひとつ増えた。


「今度、それをつけてるところ、陽莉にも見せてやって? あいつ、きっと喜ぶから」

「うん。私も、陽莉ちゃんに会いたいな」

「ほんと? だったら……来月のゴールデンウィーク、家に遊びに来ない?」

「え?」

「陽莉も、君に会いたがってるし。絃葉ちゃんさえ良ければ、家に招待するよ」