「だっ、ダメです! これ以上は、さすがにダメ!」


私は慌てて、京極くんの手をガシッと掴んだ。


「絃葉ちゃん?」

「ぬ、脱がせてもらわなくて結構です! せっ、先生が特別に、体育は制服のままで見学してても良いって言ってくれたので……」

「あっ、そうなんだ?」

「それならそうと、早く言ってよー」と、京極くんは今外したばかりのボタンを留め、私の制服のリボンもつけてくれた。


それを見た私は、ホッとする。


「ていうか絃葉ちゃん、焦りすぎだよ。着替えの手伝いは、ボタンを外したりするだけで。本当に全部脱がせたりするわけなのに」


面白そうに、くくくっと笑う京極くん。


「お弁当を、最初に食べさせてあげたときから思ってたけど。からかいがいがあるっていうか。絃葉ちゃんって、ほんと可愛いね」


楽しそうに顔を崩しながら、京極くんは私のほっぺたを指先でプニッとつついてきた。


「だから、可愛い絃葉ちゃんが見たくて。たまにこうやってからかったり、つい意地悪したくなっちゃうんだよね」

「え!?」


つ、つい意地悪したくなるって……!


「そんなの、困るよ!」

「そっか。ごめんね? でも……」


京極くんの唇が、私の耳元に再び近づく。