「絃葉ちゃん!」


ある日の休み時間。

次の授業が体育のため、和花ちゃんと一緒に更衣室に向かおうと廊下を歩いていた私に、京極くんが声をかけてきた。


「今から、着替えに行くの?」

「えっと、うん」

「ごめん、ちょっとこっちに……」


すると京極くんに廊下の隅へと連れて行かれ、彼の唇が私の耳元へと近づいてくる。


いったい何を言われるんだろうと、ドキドキしていると。


「あのさ……制服、俺が脱がせてあげよっか?」

「へ!?」


他の皆には内緒とばかりに囁かれ、心臓が大きな音を立てる。


「ぬ、脱がせてって……」

「だって絃葉ちゃん、左手だけだと着替えるの大変でしょう?」


息がかかるくらい間近で見下ろされ、彼の指が私のブラウスにかかった。


京極くんは制服のリボンを外すと、今度は片手で器用にブラウスのボタンを上からひとつ、ふたつと外していく。


う、うそ。ここ、廊下なのに……!