好きな子……か。そう言うってことはもしかして今、京極くんには好きな人がいるのかな?


京極くんも、私たちと同じ高校生なんだもん。好きな人の一人くらい、いたって普通だよね。


そう頭では分かっているのに。


胸の辺りが、ほんの少しモヤモヤするのはなぜだろう。


「そうだ。さっきはありがとう。京極くんが、寺門さんたちから私のことを庇ってくれて……嬉しかった」

「そんなの、当たり前だろ? これからは、何かあったらすぐ俺に言って? 絃葉ちゃんのことは、俺が守るから」


ま、守るって! そんなことを言われたら、勘違いしそうになるよ。


だけど、守るっていうのは……あくまでも、私のお世話係としてってことだよね?


「ありがとう、京極くん。でも、なるべく迷惑をかけないように頑張るね」


胸のドキドキが加速するなか、私は今そう伝えるだけで精一杯だった。