「もう! 蒼生くんったら、最近は宮崎さんばっかり。そもそも蒼生くんがあんな子に付きっきりでお世話だなんて、おかしくない?」

「ほんとほんと。宮崎さんも、自分の立場ってものをわきまえなさいよね」

「……」


寺門さんや彼女の友達の言葉が、胸にグサグサ突き刺さる。


京極くんが私のお世話係になってから、寺門さんをはじめ、彼のファンの人たちに陰で色々と言われたり、睨まれたりすることが増えた。


ていうかあの子たち今、わざと私に聞こえるように大きな声で言ってるよね。


だけど、なるべく穏やかに学校生活を過ごしたい私は、彼女たちに言い返したりせずにグッとこらえる。


寺門さんは、才色兼備で由緒正しき名家のご令嬢だから。

成績学年トップで、財閥の御曹司でもある京極くんが、こんな庶民の私のお世話をするのは気に入らないんだろうな。


私が、黙ってじっと教室の床を見つめていると。