そこには、驚くほど綺麗な字が並んでいた。

京極くんって、字も上手なんだなあ。書道とかやってたりするのかな?


よし、せっかく貸してもらったんだから。

少しでも早くノートを返却できるよう、今から頑張って書き写そう。


それから私は左手で、黙々と自分のノートに書き写していく。


そして、今日の授業内容の最後のページに到達する頃。ページの一番下に、水色の付箋が貼ってあることに気づいた。


【板書、お疲れさま。俺で良ければ、またいつでもノート貸すから。遠慮なく言ってね!】


京極くんからの思わぬメッセージに、私は自然と口角が上がる。


私、京極くんにいつも気を遣ってもらってばかりだなあ。


ありがとう、京極くん……。


彼の優しさが嬉しくて。私は、京極くんのノートをそっと胸の前で抱きしめた。