女の子たちの視線に耐えながら、何とか教室に到着。


そして現在、2限目の日本史の授業中。


私は今、板書に苦労している。


普段右利きの私が、慣れない左手で授業のノートをとるのは、どうしてもいつもの倍以上の時間がかかってしまう。


特に日本史の先生は、黒板いっぱいまでチョークで書くと、すぐに黒板消しで消してしまうから……。余計に、板書が追いつかなくて大変。


「よし。それじゃあ、次いくぞー」


ああ、先生に消されてしまった。ノートには、まだ半分しか書けていないのに……。


仕方ない。私がまだ書けていないとか言って、授業を止めるわけにはいかないし。

あとで、和花ちゃんにお願いして、ノートを借りて写させてもらおう……って!

そうだ。今日は和花ちゃん、風邪で学校を休んでるんだった。


私は左斜め前の、誰も座っていない和花ちゃんの席を見つめる。


どうしよう……。私、和花ちゃん以外に仲の良い友達がクラスでいないんだよね。


そんなことを考えているうちに授業が終わり、休み時間。


「絃葉ちゃん」


私が自分の席にひとり座っていると、京極くんがやって来た。


「これ、良かったら使って?」

「え?」