「おはようございます、宮崎さん。私、蒼生さまにお仕えしております。深澤(ふかざわ)と申します」


胸に手を当て、恭しくお辞儀をする深澤さん。


「深澤は、俺の執事なんだ。彼の運転技術は、とても優れているから。絃葉ちゃん、安心して?」

「は、はぁ……」


大きなリムジンに、執事さんまでいて。お金持ちの京極くんは、庶民の私とは別世界の人って感じだなぁ。


「で、ですが……」

「何より、俺が絃葉ちゃんと一緒に登校したいんだ。それなら、良いでしょう?」


京極くんに『一緒に登校したい』なんて言われたら、いくら何でも断れないよ。


それから『車での送迎は蒼生さまだけでなく、旦那さまのご希望でもあるので。宮崎さん、どうぞ遠慮なくお乗りください』って、深澤さんにも言われちゃって。


京極くんたちの善意を無駄にすることもできず、私はお言葉に甘えて腕が治るまでの間、車で送迎してもらうこととなった。