翌朝。学校に行こうと私が玄関から外に出ると、見慣れない黒の大きなリムジンが家の前に止まっていた。


一般的なごく普通の一軒家には、とても似合わない高級車がどうしてウチの前に?


訳が分からず、私がひとり玄関先で戸惑っていると。


「おはよう、絃葉ちゃん」


車の窓ガラスが下がり、中から笑顔で手を振ってきたのは京極くん。


「おはよう。あの、どうして京極くんがここに……?」

「突然、家に来てしまってごめんね? 絃葉ちゃんを迎えに来たんだよ」

「私を!?」

「うん。右腕にギプスをしたまま、電車に乗って通学するのは大変でしょう? だから、君の腕が治るまでは俺と一緒に車で学校に行こう」


うそ。あのリムジンに乗せてもらえるの!?


嬉しいけど、ただでさえ学校でも色々と手伝ってもらってるというのに……。


「そう言ってもらえるのは、有難いけど。いくら何でも、送迎まで申し訳ないよ。ウチと京極くんの家は、全然方向も違うし」


すると運転席のドアが開き、中からタキシード姿のメガネの男性が出てきた。