「蒼生くん。私ね……お嬢様でもない自分は、大財閥の御曹司である蒼生くんには釣り合わないって、ずっと思ってたんだよね」
「釣り合わないとか、そんなこと思わないでよ」
蒼生くんが手で私の頬を挟み、優しくおでこに口づける。
「俺は、身分とかそんなものは関係ないって思ってる。俺が絃葉ちゃんを好きで、絃葉ちゃんも俺のことを好きでいてくれてるんだから。それでいいじゃない。一番大事なのは身分じゃなくて、お互いを好きって気持ちでしょ?」
蒼生くん……。
「ねえ、絃葉ちゃん。こっちに来て」
蒼生くんに手を引かれ、私たちは裏庭のほうへと移動する。
「うわあ、きれい」
初めて足を踏み入れた裏庭には赤やピンクの薔薇の花が咲き誇り、薔薇のアーチもあった。
私は蒼生くんと並んで、ガーデンベンチへと腰をおろす。
「それにしても、絃葉ちゃんの右腕が治って本当に良かった。これで、君を好きなだけ抱きしめられる」
蒼生くんに力強く抱きしめられ、彼の唇が重なる。