走って応援席の前までやって来ると、私の緊張は最高潮に。


「あ、あの……蒼生くんっ!」


私は、勇気を振り絞って声を出す。


「京極くんだって〜」

「えーっ。宮崎さん、まさかの王子を指名?」


私が蒼生くんの名前を口にすると、クラスの蒼生くんファンの女の子たちがザワザワする。


私がこうやって蒼生くんを指名しても、もし彼に断られたら……って思うと怖いけど。


「蒼生くん、私と……一緒に来てください!」


私はもう一度、精一杯の声を出した。


足はガクガクと震えている。もちろん、声だって。


さっきから尋常じゃないくらいにドキドキしていて、心臓が破裂しちゃいそう……!


クラスの皆に注目され、恥ずかしさに耐えきれずに私が俯いたそのとき──。