「それでは位置について、よーい……」


──パーン!


ピストルの音を合図にレースが始まると、色々なところで声が飛び交う。


「校長先生、一緒に来て下さい!」

「赤い服を着ている人、誰かいませんか?」

「ええっと、帰国子女の人!」


“帰国子女”とのお題が出たらしく、アメリカ帰りの圭人が、白組の女の子と一緒に走っていくのが見えた。


敵チームの人が応援席に来たら、お題の人を連れていかれないようにと阻止しようとする人もいるなかで。

敵とか味方とかそんなの関係なく、すぐに協力して一緒に走ってあげている圭人は、やっぱり優しい。