「やっぱり圭人は、私のことは何でもお見通しだね」

「当たり前だろ? 俺が今までどれだけ、絃葉のことを見てきたと思ってんだよ」

「……ちょっ、痛いよ圭人!」


私は圭人に、鼻をムギュッとつままれてしまった。


「ふはっ。絃葉、変な顔〜」

「もう! 圭人ったら、またそんなことを言って……」

「絃葉」


笑っていた圭人の顔が一変。今度は、真剣なものになる。


「俺、アメリカに住んでる間もずっと、絃葉のことが忘れられなくて。いつか日本に帰ったら絶対に俺のものにして、俺が絃葉を一生守ってやるんだって思ってた。けど……」


私の鼻をつまんでいた圭人の指先が、掠るように私の頬を撫でた。


「俺の知らない間に、絃葉にも大切なヤツができていたんだな」


圭人の瞳が、切なげに揺れる。