「だって、ここの学校では体育祭の日に告白して結ばれたカップルは、ずっと一緒にいられるってジンクスがあるじゃない?」


和花ちゃんの言うとおり、確かに宝生学園にはそんなジンクスがある。

そのためか、体育祭の日に告白する人がすごく多くて。体育祭のあとは、毎年カップルが急増するんだよね。


「卒業後、実際に結婚したカップルも多いらしいし。絃葉も、京極くんに想いを伝えるチャンスだよ!」

「で、でも……蒼生くんはもう、私のお世話係じゃないし」

「それでも、絃葉は今も京極くんのことが好きなんでしょう?」


和花ちゃんにズバッと言い当てられ、言葉につまる私。


少し前に、蒼生くんのことは早く忘れて吹っ切れなくちゃと思ったはずなのに。


私は全然吹っ切れることなんてできずに、今もまだ蒼生くんのことを密かに想い続けている。


「蒼生くんのことは好きだけど……彼には、姫華さんという許嫁がいるから。告白は、やっぱりできないよ」

「絃葉……」


眉を八の字にした和花ちゃんが、私の肩にポンと優しく手を置いてくれる。


許嫁がいる蒼生くんに告白しても、きっと困らせちゃうだけだし。振られるのが目に見えているから。


それなら私は……やっぱり告白なんてしない。