やっぱり、圭人にはお見通しだよね。


「絃葉が元気ないのって、パーティーの日にバルコニーで泣いてたことと、やっぱり何か関係があるのか?」

「……っ」


図星を突かれた私は、言葉につまる。


「まあ、話したくないのなら無理に話してくれなくて良いけど。いつまでもウジウジ悩んでるとか、絃葉らしくねえ」

「あっ、痛ぁ〜」


私は、圭人にいきなりこめかみあたりをコツンと小突かれた。


「ふはっ。絃葉、変な顔ーっ」


圭人が、肩を小刻みに震わせて笑い始める。


「変な顔って! 圭人のせいでしょー?」


お返しのつもりで、圭人の腕をペチペチと叩く。


「やめろって、絃葉。まあ、絃葉ならどんな顔をしてても可愛いんだけどな」

「え?」


圭人……今なんて?


「いや、何でもない。あっ、そうだ。今日の帰りに、クレープでも食べに行かないか? 松島さんも誘って3人で。俺が奢ってやるからさ」

「えっ、いいの? ありがとう、圭人!」

「ああ。だから、早く元気になれよな」


ぽんと、頭に圭人の大きな手のひらがのる。


……そうだよね。いつまでも落ち込んで、圭人に心配かけてちゃダメだよね。


いいかげん吹っ切れて、蒼生くんのことは早く忘れないと。