そして一度は断られたものの、どうにか絃葉ちゃんのお世話係になることができた俺。


ご飯を食べさせてあげたり、髪を結んであげたり。

絃葉ちゃんの教科書やカバンを俺が持ったり、俺の家の車で一緒に通学したり。


お世話係として、絃葉ちゃんと過ごすなかで彼女へ抱く感情が『気になる』から『好き』へと変わるのに、そう時間はかからなかった。


一緒に学校生活を送っていると、絃葉ちゃんはからかうと意外と面白いタイプであることも知った。


ムキになったり、顔を真っ赤にさせる絃葉ちゃんが可愛くて可愛くて。


俺は大人気ないと分かっていながらも、可愛い絃葉ちゃんを見たいがために、つい彼女に意地悪なことをしてしまった。


日に日に募る、絃葉ちゃんを愛おしいと思う気持ち。


自分には、許嫁の姫華がいるから。


本気で好きになったらダメだと思いながらも、ただでさえ以前から絃葉ちゃんのことが気になっていた俺は、彼女を好きにならないなんてそんなの無理だった。