「宮崎さんは、お昼はパン?」

「うん。いつもは、お母さんが作ってくれるお弁当なんだけど。私が骨折しちゃったから」

「そっか。そうだよね」


今朝『お昼はお弁当よりも、パンのほうが食べやすくて良いかしら?』と、お母さんが気を遣ってくれて。

学校に来る途中のコンビニで、パンを買ってきたんだ。


私は、左手のみでクリームパンの袋を開けようとするけど、片手だけだとなかなか開けられない。

両手を使えていたときは、簡単に開けられたのに。片手しか使えないと、こんなにも大変だなんて。

私が、パンの袋を開けるのに苦労していると。


「貸して?」


京極くんがこちらに手を差し出してきたので、私が袋を彼に渡すとすぐに開けてくれた。


「どうぞ」

「あ、ありがとう」

「ううん。俺は、君のお世話係なんだから。これくらい当然だよ」