4月中旬のある日。


「ただいま帰りました」

「あっ、蒼生!」


学校から帰宅した俺に、慌てた様子の母さんが声をかけてきた。


「どうしたの?」

「さっき、執事から連絡があって。ひ、陽莉が事故に……!」

「え!?」


『事故』と聞き、俺の背中にぞくりと冷たいものが走る。


「母さん、落ち着いて。陽莉が事故に遭ったの!?」

「じ、事故に遭いそうになったけど……女性の方に助けて頂いたみたいで。陽莉は、無傷だったって!」


『無傷』という母さんの言葉に、俺の体からは一気に力が抜け、心からホッとした。


俺と10歳も年の離れた、たった一人の大切な妹に、もしものことがあったらどうしようかと思った。


「だけど、陽莉のことを助けて下さった方が負傷されたみたいで……」


そのあと、女性が入院する病院までお詫びに行った母さんから、陽莉を助けてくれた女性のことを聞いた俺はびっくり仰天。


まさかその女性が、密かに気になっていた宮崎さんだったなんて……!