あの日から彼女のことが気になるようになった俺は、学校であの子のことを探してみた。


すると、案外すぐに見つかった。


彼女は俺の隣のクラスの子で、名前は宮崎絃葉。


宮崎さんの名前は、学校のテスト後に廊下の掲示板に貼りだされるテストの成績上位者20人の名前のなかで、見たことがあった。


そっか。あの子が、宮崎さんだったんだ。


宮崎さんはあの日俺にしてくれたように、学校でも誰かの落とし物を拾って渡してあげていたり、誰に対しても優しくて。


ここ宝生学園は、親のコネとかお金を積んで入学する生徒もいるなか、彼女は難関の一般入試を勝ち抜いて入ったと知った。


入学してからのテストの成績も、いつもトップ10に入っていて。宮崎さんは、かなりの努力家なのだと思った。


1年の頃は隣のクラスで特に接点もないから、俺は宮崎さんのことを遠くからただ見ているだけしかできなかった。


2年のクラス替えでは、彼女と奇跡的に同じクラスになれたものの、話すキッカケを掴めずにいた俺は、なかなか声をかけられずにいた。


そんななか、高校2年生になって少し経った頃。俺に、思わぬチャンスが巡ってきた。