俺、京極蒼生には好きな子がいる。


その子は、宮崎絃葉ちゃん。


俺が絃葉ちゃんのことが気になるようになったのは、今から約1年前のこと。


* * *


「京極くん、おはよう!」


高校に入学して間もない頃。


朝、送迎の車から降りた瞬間、俺は女子たちに一瞬で囲まれた。


俺の右、左、前、後ろ。


どこを見ても、女子だらけ。


「蒼生くん、今日も朝からかっこいい〜」

「ははっ。どうもありがとう」


せっかく自分のことを褒めてくれているのだからと、一応俺は笑顔を貼りつけてお礼を言う。


京極財閥の御曹司というのは、女子からすると魅力的なのだろうか?


小学生の頃から、俺の周りにはいつもこんな調子で女子が集まってくる。


俺が歩けば後ろをついてこられ、勝手に写真を撮られたりもする。


高校では一部の女子からなぜか『王子』と呼ばれ、アイドルでもないのにキャーキャー言われる。


昼休みや放課後には、毎日のように女子に呼び出されては、好きだと告白されて。


最初の頃は、純粋に嬉しかったけど。


そういうことが続いていたからか、次第に鬱陶しいと思うようになっていき……。


最近の俺は、女子が少し苦手になりつつあった。