えっ……。
蒼生くんにいきなり抱きつくなんて、この人だれ!?
蒼生くんに抱きついた女の子は、リボンのついたふわふわの長い髪に、フリルが沢山ついたピンクのドレスを着ていて。
顔のパーツ全てが整った、かなりの美人さん。
「ちょっと、姫華! いきなり抱きつくのはやめろって」
「いいじゃない。久しぶりにあおくんに会えたから、わたし嬉しくって」
姫華……?
蒼生くんの口から飛び出した『姫華』という名前に、私は聞き覚えがあった。
その名前、どこかで……あっ、そうだ!
──『もしもし、姫華?』
ゴールデンウィークのあの日。蒼生くんが私の家に泊まったときに、電話で話していた相手の名前だ。
そっか。この人が姫華さん……。
姫華さんに抱きしめられている蒼生くんを見て、私の胸はザワザワして落ち着かない。
「ちょっと姫華。いいかげん腕離して」
まだ自分のことを抱きしめて離さない姫華さんの腕を、そっと外す蒼生くん。
「もう! あおくんったら、照れちゃって。わたしたち、許嫁でしょう〜!?」