私のお父さんと同年代くらいのダンディーな男性が、にこやかに声をかけてきた。


えっと、この方は誰だろう?


私が疑問に思っていると。


「あっ、パパ!」


陽莉ちゃんが、その男性のことを嬉しそうにパパと呼んだ。


えっ。陽莉ちゃんがパパって呼ぶってことは、まさか……蒼生くんの?


「そうだよ、パパ。このお姉ちゃんが、陽莉のことを助けてくれた絃葉ちゃん!」

「そうか。この方が……」


男性の目が、陽莉ちゃんから私へと向けられ、心臓がドクン! と大きく跳ねた。


蒼生くんのお母さんには一度お会いしたことがあるけれど、お父さんは初めてで。


しかもあの京極財閥の当主の方だと思うと、鼓動が一瞬で速まり、頭の中が真っ白になる。