それから私は蒼生くんにエスコートしてもらいながら、ホテルのパーティー会場へと向かった。
「それじゃ、中に入ろうか」
蒼生くんが扉を開いた瞬間、煌びやかな世界が目に飛び込む。
「うわあ、すごい」
天井から吊り下がった巨大なシャンデリアに、赤いテーブルクロスのかかった長いテーブルの上には、いくつもの豪華な食事。
まるでお城のようなパーティーホールに、私は思わず声をあげ、しばらく立ちつくしてしまう。
「あーっ! 絃葉ちゃんだ〜!」
私がしばし圧倒されていると、会場中に響くくらいの大きな声を出しながら、ひとりの女の子がこちらへと駆けてきた。
私目がけて、今にもダイブしそうな勢いでやって来たのは……。
「陽莉ちゃん!」
蒼生くんの妹の陽莉ちゃんだった。
蒼生くんと同じサラサラの栗色の髪を、今日はツインテールにしている。
「こんにちは、陽莉ちゃん」
「こんにちは。陽莉、絃葉ちゃんが今日ここに来てくれて、すっごく嬉しい!」
「え〜っ。本当に? 私も嬉しいよ」
そんなことを言ってくれるなんて。陽莉ちゃんは、なんていい子なんだろうと感激したそのとき。
「えっと、あなたが絃葉さんかな?」