どこ……ここ…

目が覚めたら後ろ手に手首を拘束されていて、身動きを封じられていた。どこからか水がピチョン、と滴り落ちる音が聞こえてくる。

私は冷たいコンクリートの上に寝かされていた。

前に拉致されて連れてこられた場所じゃない。また別の場所。

今日は早く帰らないとなのに……

身体をよじって何とか拘束を解こうとするけど更に縄が食い込むだけで痛かった。

と、その時。

「……いい気味」

どこからか見下すような。嘲笑うかのような。そんな声が聞こえてきた。顔を上げるとそこには……

「くるみ、さん……?」

足を組んで椅子に座るくるみさんがいた。

くるみさんの他にも男の人が数人こちらへやって来る。

なに……。誰…なの………

何の為に私のこと、ここに連れてきたの…

「くるみちゃんが言ってたのってこの子ー?」

「えぇ」

「へぇー、あの霧矢結が惚れた、とかいうからどんな女の子かと思ったら、結構平凡だねー」

「でしょ?」

立ち上がったくるみさんはゆっくりと私の後ろに回り込んで薬指の指輪を引っ張った。抵抗することなんて出来ず、それはいとも簡単にくるみさんの手に渡ってしまう。

「……っ、えっ、くるみさんっ、なにを……」