泉さんに別れを告げた後。

しあわせ園に行くついでにスーパーにでも寄ろうと考えてたけどお金を忘れたことに気付いて1度家に帰り、食費用に渡されているお金を取りに行くことにした。

年に1度の誕生日。

少し遅れちゃったけど、今日の夜ご飯はいつもよりも少し豪華にしたい、と考えていた。

***

ちょうどエレベーターに乗ろうとした所。
偶然にも下のフロアで真柴さんに出くわした。

「え、待って、そういえば僕も忘れてたっす…」

結くんの誕生日についての話をした所、真柴さんも私と同じくお祝いしていなかったみたい。

証人の所は真柴さんにお願いしてたみたいだから真柴さんも結くんの生年月日の欄はばっちり見てるはずだけど…、と思って聞いてみたけど「そこまでは見てなかったっす」と言って頭を抱えていた。

「うわー、そうだ。若誕生日12月だ…。あ、じゃあ、車出しますよ! 僕もなんかプレゼント買いたいですし」

「ありがとうございます…っ、助かります」

お言葉に甘えて、後部座席に乗った。

「あの…結くんって好きな食べ物ありますか。夜ご飯、どうしようかなって…」

ハンドルを切る真柴さんに尋ねてみる。

「うーん、好きな食べ物か…」

もし知っていたら教えてもらおうと思ったんだけどこの様子じゃ知らないっぽい。

私が知る限りでは甘いものはとりあえず好きそうだからスポンジとか買ってケーキでも作ってみようかな。

うぅ。でもご飯は……どうすれば…

頭を悩ませていると真柴さんがサラッ、とヒントをくれた。

「あ、多分ですけど…普通に肉じゃがとかでいいと思いますよ?」

「肉じゃが……?」