証人…
もうひとつ。書く欄がある。
そっちはまだ空白。
そういえばここは、大切な人やお世話になった人に書いてもらう、って聞いた事がある。
***
「ももちゃーん」
「あ、サナちゃんっ」
あの後。
私はしあわせ園に訪れていた。
出迎えてくれたサナちゃんと少しお話して、泉さんの元に向かう。
「泉さん」
「あら、茅島さん〜っ、今日寒いわねぇ」
いつもと何も変わらない穏やかな笑顔で迎えてくれる泉さん。その笑顔を見て、やっぱりこの人に書いてもらいたい、と思った。
「あの、泉さん。今日はお願いがあって」
「お願い?」
カバンの中からクリアファイルに入れた婚姻届を取り出す。
「ここ…お名前書いてくれませんか」
緊張しながらまだ空欄の証人の所を指指す。
私が書く所は全てもう書いてある状態で。
あとはここだけ。
「え!? これ…婚姻届! 私でいいの!?」
嫌な顔ひとつせず瞳を輝かせて、私に詰め寄る泉さん。その様子に私は胸をなでおろした。
「泉さんがよくて…」
「嬉しい……っ、ぜひ書かせて! 私ほら、独身だし子供もいないでしょう? だからこんなことお願いされる日が来るなんて思ってなかったわ」
泉さんはそう言うけれど、しあわせ園で暮らすみんなにとって泉さんはお母さんのような存在。
もし今ここにいる子達に大切な人が出来て結婚する時。この欄は必然的に泉さんに書いて欲しい、ときっと誰もが思うと思う。
「ありがとうございました…っ」
快く引き受けてくれた泉さんのおかげで全ての欄が埋まり、あとは提出するだけの婚姻届を受け取ってお礼を言った。
シワにならないように大切に婚姻届を胸の中で抱き締める。心なしかさっきよりも重みが増している気がする。
大切に持って帰らなくちゃ。
もうひとつ。書く欄がある。
そっちはまだ空白。
そういえばここは、大切な人やお世話になった人に書いてもらう、って聞いた事がある。
***
「ももちゃーん」
「あ、サナちゃんっ」
あの後。
私はしあわせ園に訪れていた。
出迎えてくれたサナちゃんと少しお話して、泉さんの元に向かう。
「泉さん」
「あら、茅島さん〜っ、今日寒いわねぇ」
いつもと何も変わらない穏やかな笑顔で迎えてくれる泉さん。その笑顔を見て、やっぱりこの人に書いてもらいたい、と思った。
「あの、泉さん。今日はお願いがあって」
「お願い?」
カバンの中からクリアファイルに入れた婚姻届を取り出す。
「ここ…お名前書いてくれませんか」
緊張しながらまだ空欄の証人の所を指指す。
私が書く所は全てもう書いてある状態で。
あとはここだけ。
「え!? これ…婚姻届! 私でいいの!?」
嫌な顔ひとつせず瞳を輝かせて、私に詰め寄る泉さん。その様子に私は胸をなでおろした。
「泉さんがよくて…」
「嬉しい……っ、ぜひ書かせて! 私ほら、独身だし子供もいないでしょう? だからこんなことお願いされる日が来るなんて思ってなかったわ」
泉さんはそう言うけれど、しあわせ園で暮らすみんなにとって泉さんはお母さんのような存在。
もし今ここにいる子達に大切な人が出来て結婚する時。この欄は必然的に泉さんに書いて欲しい、ときっと誰もが思うと思う。
「ありがとうございました…っ」
快く引き受けてくれた泉さんのおかげで全ての欄が埋まり、あとは提出するだけの婚姻届を受け取ってお礼を言った。
シワにならないように大切に婚姻届を胸の中で抱き締める。心なしかさっきよりも重みが増している気がする。
大切に持って帰らなくちゃ。