「珍しいな、眠かったか?」

昨日のこと。私が倒れたこと。

真柴さんは結くんに黙っていてくれてたみたい。

結くんの反応を見て確信した。

「はい、ごめんなさい」

「別にいい。小桃の寝顔いっぱい見れたから」

ギュッ、と抱きしめられて。「おはよう」と言われる。

今はもう……

昨日感じた不安は欠片もなくなっていた。

​────キッチンには、昨日私が焦がしたカレーや、その他諸々のものは全て跡形もなく片付けられていた。

真柴さんがやってくれたんだ……

あとでお礼言わなきゃ。

***

その日のお昼。

真柴さんが私の体調を心配して様子を見に来てくれた。

「体調はもう大丈夫なんすか?」

「はい…、昨日はご迷惑お掛けしました。片付けもありがとうございました…」

「とんでもないっす。元気になって良かったっ。それより昨日……」

部屋には私と真柴さんしかいないけれど、内緒話でもするかのように真柴さんは声を潜めた。

「若が昨日小桃ちゃんの寝顔めっちゃ見てたっすよ〜」

「えっ! めっちゃ……??」

確かに今朝、私の寝顔いっぱい見れた、って結くん言ってたけど……。そこまで…??