「え?」

「…」

キョトン、と私を見つめる泉さん。
しばらくしてから悲鳴にも似たような大声が響く。

「えぇえええ!? ほんとに!? えっ、そうなの!?」

「はい…、ごめんなさ​────」

「なんで謝るのよ!」

「いやっ…」

結婚に至るまでの経緯…、ある日突然拉致されたことも。それから暫く監禁されて尋問を受けていたことも。突然求婚されたことも。心配をかけてしまうと思ってそれらは伏せながら、話した。

​────2月2日はもう再来月に迫っている。

時間は待ってくれない。

「結婚式…、よかったら見に来てくれませんか」

私は多分…

ずっとこれが言いたかった。


泉さんは私のお母さんのような存在だった。
もし、お母さんが生きていたらこんな会話をするのかな、とか。泉さんとお話している時なんかはよく感じていた。

結婚なんて絶対しない、と思ってたけどもしするなら。真っ先に見に来て欲しい、と思い浮かんだのは泉さんの顔だった。

「え〜っ、行きたい〜っ!」

「ほんと、ですか…」

「うん! ここのこともあるけど絶対行くわ! あっ、ていうかいっそのことみんなも連れて行ってもいいかしら?」

鼻の奥がツーン、とする。

小さく頷いた。

「はい…っ、ぜひ……」