強引なまでに与えられる優しさは私の心を幾度となく、くすぐる。

クレープを受け取り、公園のベンチに並んで座る。

会計の時に離しちゃった手がなんだか恋しくて。自分でも不思議だけど座った途端に結くんの手を無意識に掴み、私から恋人繋ぎをしていた。

直後のこと。

「…これじゃ……、食べずらいだろ…」

少し困ったように頬を赤らめる結くんに気付いて、慌ててパッ、と手を離した。

やだっ、食べる時まで繋がなくていいのに、私なにしてんだろ……っ

「……っ、ごめんなさい…っ」

でも、1秒足らずで離したはずの手はすぐにまた繋がれた。

「……食べれないこともないから」

小さく、ボソッ、とそう言ってくれた結くんの横顔には、見惚れない訳がなかった。

食べ進めていけば、クレープを包む包装紙を剥きたい、と思って。

けど繋いだ手を離すのが嫌で。

だから上に引っ張るようにしてクレープを食べた。チラッ、と横を盗み見たら結くんもそうしてた。


甘くて。美味しくて。

でも

きっとお互い…

すごく食べずらかった。


「すみませーん! そのボール取ってくださーい!」

最後の1口を食べた時。足元にコロコロとボールが転がってきた。私達がここへ来るより前から公園で遊んでた子のもの。

足先にコツン、と当たったのでそれを拾って、覚束無い足取りでこちらに走ってきた4、5歳くらいの小さな男の子に手渡す。