いつも結くんは……、

こうやって私の気持ちを欠かさず聞いてくれる気がする。

「どれがいい?」

クレープ屋さんのメニューを眺めながら結くんが尋ねる。

「私はどれでも…」

肩にかけたポシェットの中には万が一の時の為の薬が入っているだけ。払ってもらう立場でこれがいい、と言うのはおこがましいと思ったのでお任せしようと思ったんだけど……

「いいから。選んで」

「でも……」

「選ばないならこの小桃のはビックスペシャルクレープにする」

ビックスペシャルクレープ……?

うわっ!

結くんが指さしたのはメニューに1番大きく載っているものだった。その名の通り、お値段もこのお店の中でダントツでビックだ。

「ご注文お決まりでしたか~?」

「はい、このビックスペシャルク​────」

「イチゴチョコ……っ、がいいです」

結くんが言い終わる前に私はメニューの端っこを指さした。

「ビックスペシャルクレープですか~?」

「いや、イチゴチョコとカスタードチョコで」

「かしこまりました~」

ふぅ……。

「俺は小桃の旦那。遠慮するな」

お会計を済ませてクレープの出来上がりを待っている間。頭の上にぽん、と手が乗せられた。