逃げるように飛び出して始めたひとり暮らし。

2階建ての小さなアパート。101号室。

ありとあらゆるものから解放されて。私は自由になった。でも、自由と共に私は……

孤独をも手に入れた。

あれだけ最初は解放感でいっぱいだったのに。

このまま本当に本当に1人でこの世を去っていくんだろうか、と考えればどうしようもなく怖くてうまく眠りにつけない日も度々あった。

どれだけ布団の中で小さく丸まっても、手が、足が、ひんやりしてていつも冷たい。

不安でいっぱい。

いつも見えない何かに押しつぶされそうな圧迫感を胸に抱きながら一生懸命息をしていた気がする。

「話してくれてありがとな、辛かったな」

「いえ…」

耳たぶにほんわかと当たる吐息が少しだけくすぐったくて心地良かった。

話すのを待っていてくれて、ありがとうございます。

「デート、楽しみです」

「だな」

ポカポカする。

今、

私の身体は頭からつま先まで全部……





とても暖かかった───────。