アルバムには綺麗だと思った空の写真くらいしか入ってないし、大切な連絡先も特になく元よりほとんど使用していなかったもの。

修理に行けば治るだろうか、なんて考えすら過ぎらなかった。

あっ、ふふっ…、良かった。あった。

そんなことより、これ。
スマートフォンなんかより、大切なもの。

私はトートバッグの内ポケットから
【も も ち ゃ ん 、 だ い す き】
と書かれた薄ピンク色のハート型の折り紙を取り出した。

これは少し前にサナちゃんがくれたもの。

覚えたての字で頑張って書いてくれて、以来私のお守り代わりになっている。

まだ学校に通っていた時も、休み時間にお話する友達なんて私にはいないから少し寂しい気持ちになった時なんかはこれを見て元気をもらっていた。

サナちゃん、元気かな。

​────今思い返せば、かたくなに友達を作らなかったのは私が遠ざけていたから。

大切な人を作ったら、失うのが怖くなる。

なら最初から1人の方がいい。

できるだけ陰に隠れて1人で生きて。1人で死にたい。

誰にも気付かれず静かな最期を迎えたい。

ずっとそう思ってきた。

ーー俺と結婚しろ

「…」

今は…、どうなんだろう。