なんの音かと思ったら、真柴さんが入れたゆで卵がレンジで軽く爆発していた音みたい。

エプロン姿の真柴さんがあっちにいったりこっちに行ったり、キッチン内を慌ただしく動いていた。

フライパンの上には茶色のもにょもにょがあった。

多分焦げた卵。スクランブルエッグを作ろうとしているらしい。

｢あ、若、小桃ちゃん。おはようございますっす｣

｢ん｣

｢おはようございます…、何されてるんですか｣

｢料理、っすよー。今日から僕がやることになって────あー、また焦げてるし……。わかぁー。なんでくるみさん辞めさせちゃったんすか｣

｢お前には関係ない｣

｢冷たいっすねぇー｣

今まで料理を作っていたくるみさんの代わりに真柴さんがやることになったみたい。

結くんが着替えの為かまた寝室に戻っていく。

そのタイミングで私はポツリ、と言った。

｢私の……せいなんです。くるみさんが辞めることなっちゃったの…｣

｢え？｣

｢私の家のことでくるみさんに色々聞かれて……それで、結くんが​…｣

きっと私がここに来なければ今日もくるみさんはここで結くんの料理を作っていたはず。

ほんと……申し訳ない。

｢あ〜、そういう感じだったんすね｣

｢ごめんなさい…｣