今日は昼間寝てばかりだったからなかなか寝付けないかもしれない。

そんなことをぼんやりと思った直後のこと。

「…っ」

後ろからギュッ、と抱きしめられて一瞬で息が止まりそうになった。耳元で結くんが言う。

「……悪かったな」

「え…っ?」

「今うちの組はちょっとピリついててな……。俺も最初少なからず小桃を疑った。怖い思いさせて悪かった」

「……、いえ…」

薄暗い寝室。
暖かい体温。
背中を伝ってくる正常なリズム。

いつもは私がクッションを抱きしめて眠りにつくけど、今日は私がクッションになったみたいだった。

「あの……どうしてそんなに若くして結婚したいんですか」

気になっていた事を尋ねてみる。

20歳の男の人がまだ17歳の女に惚れた、とか…。

からかっているんじゃないのか。冗談じゃないのか。

やっぱりそんなことが脳内をチラついて、今こうして抱きしめられている意味もどうしても曖昧さを帯びてしまう。

知りたかった。

この温もりが、どんな気持ちで与えられているものなのか。

耳元で結くんの吐息が当たる。

昼間よりもトーンの落ち着いた声に乗せて、教えてくれた。

「知らねぇのか? 妻がいると世界が輝いて見えるんだ」