結くんの口からはもっと別の、予想だにしていなかった言葉が言い放たれた。

「結婚式は2月2日にやろう」

「えっ?」

単純に考えれば。

それは私の……命のタイムリミット。

否応でもずっと気にしてきた私の来年の誕生日。

「次で18だろ?」

「そう、ですけど……、あの…」

「話したくなさそうだったから聞かなかった。聞いていいなら聞く」

私が本当に聞きたいことは既に察しているみたいで。こちらが全てを言わなくても結くんの方からそう言ってくれた。

「……」

押し黙った私は、膝の上で自分の手をギュッ、と握る。

「じゃあいつかまた聞かせて。それでいい」

私の無言の沈黙を‪”‬言いたくない‪”‬と捉えたらしい結くんはまたも優しい言葉をくれる。

どうして…そんなふうに受け止めてくれるの?

「小桃はこの中だとどれが好きだ」

暖かいものが頬を伝った。

「なんで泣く」

「いえ…、め、メロンパンがすきです…っ、」

「まじか、もっと早く言え」

ちょうど最後のひとつであるメロンパンを結くんがかじっているタイミングだった。

結くんは持っているメロンパンを半分に割って片方を私の取り皿の上に置いてくれる。

ふふっ。

結くんもメロンパン好きなんだなぁ。
だってメロンパンばっかり食べてる。

1口かじれば甘い味が口の中いっぱいに広がって心の中がふわっ、と軽くなっていった。