静かに手に持っていたトングを置き、責め立てるように続けるくるみさん。

きっとこの場に真柴さんがいたらとっくに仲裁に入ってくれているのに。

「どうせ若に取り入って命でも狙ってるんじゃないですか? 元は雷狂組の女、って疑われてたらしいですし。聞いたところ拷問も生ぬるいものだったそうですね。今は運良く若の優しさに甘えられているようですが二度と若に近づこうと思えないくらいもう一度、拷問を受け直し────」

「おい」

低く、怒りに満ちたようなそんな声。

その声を境にくるみさんはピタリ、と言葉を止めた。

「若……っ」

「俺はくるみに小桃を傷付けろ、と指示したか?」

「いえ……でも…っ」

「出ていけ」

「え……っ」

「クビだ、と言ってるんだ」

「……」

「出ていけ……!!」

大きな怒鳴り声。

ピリついた空気。

立ち去るくるみさんの背中がうっすらと視界の隅に映る。

「……小桃…大丈夫か」

その声でではっ……、と我に返った。

なんだかボーと…、してた。

「は、い……」

​────私は多分、森山の家のことを突っ込まれるのがすごく嫌なんだと思う。