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結くんがシャワーに行っている間、くるみさんが私たちの夜ご飯の支度をしてくれていた。

オムライスの他に、クロワッサン、メロンパン、クリームパン、コッペパン……他にもいろいろ。

目の前の食卓に沢山の種類のパンが並べられていく。

そんな光景に目を輝かせていた。

わー……っ

「おいしそう……」

ついそんな声が出てしまう。

最近はずっと節約節約、でまともなものはしあわせ園でみんなと食べるご飯くらいだった。

ひとり暮らしは自分ひとりだけだから食べるものにはあまり頓着しなくなってしまう。

だからお昼のハンバーグといい、今目の前にあるパンやオムライスといい……、すごく輝いて見えた。

豪華だなぁ……。

この家も高層マンションの最上階ってだけあって眺めは絶景。車も人も豆粒程度の大きさ。

お金持ち。いや。大金持ち、というべきだと思う。

「先程あなたの素性を調べさせて頂きました」

「えっ?」

トングでパンを掴みながら唐突にそんなことを言い放つくるみさん。

私は身を固まらせた。

調べてまずいことなんか別にないはず。

でもなんでくるみさんが……?

結くんに頼まれた、とか……?

急に不安になってきて顔を強ばらせた。